『ローズメイカー 奇跡のバラ』のあらすじと概要
「大統領の料理人」「偉大なるマルグリット」のカトリーヌ・フロ演じるバラ園経営者と職業訓練所から派遣されたはみ出し者の素人3人が世界屈指のバラ・コンクールに挑む姿を描いたドラマ。
フランス郊外で父が遺した小さなバラ園を経営する頑固者のエヴ。人を雇う余裕などなく、倒産寸前に追い込まれたバラ園に、職業訓練所から派遣された3人の素人がスタッフとして加わることとなった。しかし、バラに関して何も知らない彼らはエヴを手助けするどころか、一晩で200株のバラをダメにしてしまうなど足を引っ張ることになります。そんな中、エヴに新種のアイデアが閃く。交配に必要なバラがラマルゼル社のバラ園にしかないと知ったエヴは、フレッドにある“特技”を披露させる。パリの新品種コンクールまであと1年、はみだし者たちの壮大な奮闘が幕を開ける。
”人にも様々な個性があり、与えられた環境の中で芽がでたりするものです。可能性を信じて生きることでしか未来を切り開くことはできないのではない”という、本作のメッセージがひしひしと伝わって来るさ作品となっています。
撮影方法について、ピノー監督は「バラの野原に無人カメラを設置して、10カ月間も撮影しました」と明かしています。キャストたちの撮影は9月と10月の2カ月で行ったそうで、「季節の移ろいを見せるのは本当に大変でした」とインタビューで語っています。
監督は本作が長編監督2作目となるピエール・ピノー。
『ローズメイカー 奇跡のバラ』のスタッフとキャストについて
ピエール・ピノー監督・脚本:短編映画“Les Miettes”(08・原題)がカンヌ国際映画祭批評家週間に出品され、セザール賞短編映画賞を始め、数々の栄えある賞を受賞しています。
カトリーヌ・フロ(エヴァ):1956年、フランス・パリ生まれ。
監督曰く「彼女は女優としてフランス的なオーラを持っている」と言わしめています。また、バラの育種はフランスのお家芸なので、フランスを代表する人に、是非この役を演じてほしかったと語っています。
フランスで最も栄誉あるセザール賞に10度ノミネートされ、その内『偉大なるマルグリット』他で見事に2度受賞、大ヒット作『大統領の料理人』でも知られるフランスの国民的大女優
メラン・オメルタ(フレッド):1992年生まれ。フランス・トゥールーズ出身。反抗的で乱暴な態度だが、実は親に見捨てられた寂しさを抱える。彼はインディーズ系のラッパーとしても知られる多才なアーティストで、鋭い嗅覚という隠れた才能を認めてくれたエヴに、信頼を寄せるまでをドラマティックに演じています。
オリヴィア・コート(ヴェラ):1974年、フランス・オー=ド=セーヌ県シュレンヌ生まれ。 『パリの家族たち』出演の実力派女優。
パリの家族たち 映画 女性監督がパリで働き活躍する女性を活写
『ローズメイカー 奇跡のバラ』のネタバレ感想
【ネタバレ有り】
フランス映画ではワイナリーを舞台とした映画が多く、本作品の様なバラ園を舞台とするストーリーは数少ない気がします。バラ作りは、フランスが盛んであるというのも寡聞にして初めて知りました。(香水の原料なので納得…)
物語としては極めて分かり易いストーリーの為、これは「フランス映画」らしくないところでもあります。十分予想のついていた筈のラストシーン、交配による素晴らしい新種の開発に偶然に成功します。もう絶対ダメかと思った後なので、本当に感動してしまいました。本編では新種開発は簡単な作業の積み重ねなようですが、実は大変繊細で奥深いのかもしれません。何度も試行錯誤を繰り返さなければならないと思います。正直素人には良く分かりません。
また、最後にフレッドは旅立つ前にエヴァから「花言葉集」をプレゼントされます。その本の中に3つの小さな押し花が挟まれていました。フレッドは一つ一つの押し花の花言葉を探していきます。花言葉で最後の挨拶に替えるという粋な演出には、少々少女趣味的と笑われそうですが、本当に感動的でした。
バラ作りの助っ人に現れる3人組は三者三様で、最初は余り頼りにならない存在ですが、エヴァの熱意に魅かれ三人が成長する姿と、新種を育てていく姿が絶妙に重なり合うところも本作品の妙味ではないかと思います。特に一番の問題児であったフレットは、人生で一度も人から認められた事が無かったのだと思います。エヴァにその並外れた優れた嗅覚の才能を見出され(後に香水の調香の勉強・仕事に旅立ちます・・・)大きな自信をつけた様です。今まで見向きもされなかった本当の親との関係をきっぱりと切り捨てるシーン(ちょっと悲しい…)一人前の男になったという自信が漲っていましたが…
今後、バラの鑑賞の仕方も一味違ったものになりそうです。
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